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源氏物語【49】源氏物語を読むために

【49】源氏物語を読むために


今回は初心者のための《正しい》源氏入門法のご提案です。



◆いつかは読みたい本No.1


ある新聞社の読者アンケートで、
『源氏物語』は「いつかは読みたい本」の第1位だったそうです。
栄えある第1位、といいたいところですが、もし
「結局読まなかった本」のアンケートがあったとしたら、
そちらでもおそらく第1位でしょう。

無理もありません。
とにかく長い、平安時代をよく知らない、
そして高校の古文の時間に寝ていたので古語がわからないという
さらなる大きな壁が…。

しかし幸いなことに、今では何種類もの現代語訳が出ています。
谷崎源氏や与謝野源氏がむずかしくても、
瀬戸内寂聴訳、林望訳、大塚ひかり訳など
選択肢は豊富にあります。

無理せず、まず第一巻だけを読んでみましょう。
全巻まとめ買いはお勧めしません。
いいんです。長篇は第一巻だけがよく売れるのです。

 相性がよくないと思ったらやめればよいのです。
義理立てすることもないし、恥かしがることもありません。

すぐに解説書を買うことはありません。
本文を読んであれこれ興味が湧いてからでも遅くないでしょう。


◆原文で楽しみたい人のために


古典に慣れている人は問題ありませんが、
それほどでもないという人には、慣らし運転という方法があります。
『更級日記』や『堤中納言物語』あたりを読んでみましょう。
同じ時代の『枕草子』でもよいかも知れません。
王朝文学の文体や空気になじめたところで挑戦するのです。

え、すぐに読みたい?
それなら現代語訳付きがお勧めです。

現代語訳を一頁くらい読んで、
それから同じ部分の原文を読むのがよいでしょう。
これらの現代語訳は作家でなく学者の手になるものですから、
クセがなく信頼性が高いのが利点です。
何種類かありますが、角川ソフィア文庫版がイチオシ。
前半が脚注付きの原文、後半が現代語訳となっているため、
どちらも一気にスラスラ読むことができます。
会話の部分は誰のセリフなのかを括弧で示してあるので、
混乱することもありません。

本書は初版以来定評のあるもので、研究者でも座右に置くほど。
(誰かに頼まれたわけではないのでご安心を。)
あとは当メルマガで雑学を仕入れておけば、
ちょっとは自慢できるレベルになる、かも知れません。

ためしに現在店頭にある角川ソフィア文庫の『源氏物語』を見たら、
第1巻が60版を数えるのに対し、第10巻(最終巻)は17版でした。
気が楽になる数字じゃありませんか。